私がラックに星名理論を応用したのを察知した星名先生

 私が星名理論の応用したのを察知したのは星名先生だけです。

　京大ラグビー部100周年特設サイトの一番下に「更新情報をお届けします」と言うのがあり、メールアドレスで配信登録をしたところ、早速、更新情報が届きました。

　「星名ラグビー１期生の回想（下）ハイスピードラグビー」を早速見たのですが、インタビューを受けた和田さんが書かれた「星名ラグビーに関する感想」を読んで、星名先生の人間としての凄さを再確認するともに、同志社に星名理論のスィングパス（私は勝手に極端に浅いアタックライン、と名付けていましたが）を教え始められた時のことを色々思い出しました。

　横へ走るスピードのある選手がもう一人いました。右ウイングの同期の馬庭です。彼は私と一緒に1年生の時から右サイドを組んで試合に出ていました。足が早いし、タックルも強いし、さらにゴールキックもできる万能選手でした。

　星名先生は私と馬庭をセンターにしたかったみたいです。しかし、馬庭はウイングにこだわり、センターは嫌だと言って、勝手に３軍のウイングで練習を始めました。

　これには星名先生も岡先生もびっくりしたみたいですが、馬庭をすぐウイングに戻し、フォワードから下げた石塚が縦には強いのですが、横へはうまく走れないので、私が常にインサイドセンターで、石塚がアウトサイドセンターに決まりました。

　デジタルコンテンツの京大ラグビーのOBの方々の話を聞いていると、星名先生も岡先生もプレーは色々教えてくれますが、それは強要するようなものではなく、いろいろなオプションの一つとして教えて、後はどのプレーを選ぶかは選手が主体的に決めれば良いと考えておられるようでした。

　私は元々常識や慣習は全く気にしていなくて、直感的に行動するタイプですので、星名先生のコペルニクス的転回とも言える今までとは全く真逆のプレーはすぐ受け入れました。

　私にパスをするスタンドオフの中川さんは私よりは1年上ですが、同志社高校で一緒にプレーしていて、お互いの動きはよくわかっているので、春のシーズンが終わる頃には星名先生がイメージしているプレーはほとんどマスターしたみたいです。

　星名先生からは直接話をして教えていただいたのは最初の一回のスクラムからのアタックだけですが、私は勝手に、「ボールを持っていない時に、相手に近づいて、相手を止まらせた瞬間に、スピードを上げて逃げる」方法を、ラックやフォローでボールをもらう時にも応用するイメージトレーニングを繰り返し、さらに自由に走り回ることも、実際の試合でプレーするようになりました。　

　普通はラックの場合はラックの最後尾の選手の位置からディフェンスラインがスタートするので、スクラムより５メートル前からディフェンスがスタートする事になるので、ラックの場合、アタックはスクラムの時より更に少し後ろにアタックラインを下げるのが常識と考えていました。

　私はラックでスタンドオフがラックに巻き込まれて、立ち位置に戻るのが遅れたり、逆サイドにいた場合などには、わざと、スクラムハーフのほぼ真横に立ち、マークの選手の少し内側で、ほぼ真横にパスをもらって、横に（この場合後ろに向かって）走ってマークの選手を抜いて走りました。

　これは、星名先生だけが、「浦野が受けた瞬間にタックルされることなく、余裕を持って自由に走り回ることができるのは自分の理論の応用である」、と分かったみたいで、岡先生に「さすが同志社、すごい選手がいる」と言って、私のことを褒めてくれていたそうです。

　星名理論のラックへの応用はこちらから