岡先生は「たかがラグビー、されどラグビー、俺はラグビーに命をかける」と、言われて、ラグビーにかける思いを私に話されていました。
そして岡先生のラグビーとはフォワードのことだと思えるほど、フォワードの強化には執念を燃やしておられました。
岡先生は星名先生の教えを受けているので、当然同じ考え方だが、星名先生はバックスのセ ンターであり、岡先生はフォワードのフランカーであるので、岡先生の方がフォワードへの思い入れが感じられた。
岡先生のラグビーの戦略的な発想の根本にあるのは「ラグビーはFW戦に勝たなければ試合 に勝つことはできない」と言うものである。特にNHK杯、日本選手権で優勝した時代にはスクラム へのこだわりが大きかった。
岡先生が同志社大学のラグビーを率いて、最初に日本一になったのはNHK杯で優勝した時である。当時はまだ日本選手権というものはなく、社会人の1位と学生の1位がNHK杯を争うことで 日本1を決めていた。岡先生が率いる同志社大学は1962年にNHK杯を獲得し、1964年には NHK杯が日本選手権と変わり、その第1回で優勝した。
当時は圧倒的にFW重視のチームで、特にスクラムへのこだわりがすごかった。当時の人に話を聞くと、「スクラムは組んで押すものではなく、組んで走るもの」と言っていた人がいるくらいである。
そして実際の試合で、スクラムを組んで、押して歩き、最後はそのまま組んだまま走りだし、相 手のフッカー(スクラムの最前列の真ん中の選手)がボールと一緒に転がり出てきた」との逸話も ある。
岡先生は前提となっている常識みたいなものさえ、疑って既成の枠にこだわらない、自由な発想を持っておられたように感じました。
以下は岡先生から聞いた話です。
スクラムは通常、ハーフがボールをスクラムに転がして入れる時、アタック側のフッカー(スクラ ムの最前列の真ん中の選手)とボールを入れるタイミングを合わせ、フッカーが右足でボールを 味方の側に転がすようにする(フッキング)ので、フッカーはスクラムを押すのは左足だけになる。
岡先生はフッカーにフッキングをするのをやめ、フッカーも両足で押すことを指示した。
ほぼ対等だったスクラムでも後半になると、スクラムを全員で両足で押し続けた差が出てきて、 最初は同等であっても、最後はスクラムを圧倒するようになった。
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