2025-01-12

星名理論と岡理論をYUouTubeに適用



 今から50年以上前 Peter F Drucker の「既に起こった未来」や工程管理の手法「PERT」が普及する以前に、この理論と同様の考え方をラグビーに導入した二人の指導者がいます。

 同志社大学のラグビーの黄金期を作った星名秦先生と岡仁詩先生です。

   星名先生                   岡先生



星名理論と「既に起こった未来」の類似性



 未来を予測する最良の方法


 Peter Drucker は「未来を予測する最良の方法は、未来を創り出すこと」言っています。不確実な未来を予測し、待つのは、受け身の態度ですが、未来を宣言し、切り開き、創り出し、実現することです。この主体的思考が未来を予測する最良の方法だと、ドラッカーは言っています。

 私たちの人生は私たちのもの。それはつまり、自分の人生をもっと主体的に生きられるということです。環境や問題に振り回され、支配される必要はありません。自分の意志、自分の選択次第で、未来は作り出せるのです。


ラグビーのプレーの予測


 ラグビーは変化が常態です。予測した通りに進むことはまずありません。一つのプレーをする時には、当然ですが、味方の動き、相手の動きを予測しながら、自分の動きを決めていきます。敵味方合わせて30人が、入り乱れてぶつかり合いながら、ボールを後ろにパスをしながら、前に進むラグビーでは一人の選手の動きが予測より少し外れるだけで、予測とは大きく違う展開になります。

 ラグビーでは常に起こる変化に対応するために、多様な対応が必要となり、多様性が自然と身についてきます。そして最も重要なことは常に起こる変化に対応するだけでなく、主体的思考で自分の好ましい状況を作り出す事です。



タックルされる場所はアタックする側が決められる。


 ラグビーは本質的には地域を取り合うスポーツです。前に走っている選手の数が多い方が有利です。ボールは前にはパスできないので、最前線でボールを奪い合ったフォワードは攻撃になると後ろにパスがされて進むので、最初は後ろに向かって走ることになります。

 防御する側は、できるだけ前でタックルして、味方のフォワードを前に走らせようとするので、タックルが行われる場所(タックルポイント)は防御側が決めると思い込んでいました。


 ラグビーにはボールを持っていない選手にタックルはできないという不変のルールがあります。星名先生はこのルールを適用し、主体的思考で、極端に浅いアタックラインでボールを受ける前に、想定されているタックルポイントへ走り込む、真逆の発想を考えだされました。


 アタックする側のバックスとディフェンスする側のバックスの中間あたりにタックルポイントを結んだタックルラインが想定されます。それまでの発想は相手のバックスの出方に合わせて、そのタックルラインの出来るだけ手前で勝負をするために深い(相手から遠い)アタックラインが常識でした。


 星名先生の理論は極端に浅い(相手に近い)アタックラインで、更に相手より早くスタートすることにより、ボールを受ける前に想定されていたタックルポイントに入り込み、相手を立ち止まらせて、勝負をする真逆の発想でした。


 YouTube にアニメも加えて星名理論を解説しています。

https://www.youtube.com/watch?v=qktt3Vo2lyQ (音声を大きくして聞いてください)


 

岡理論と工程管理のPERTの類似性


ラグビーはフォワード戦に勝つことが最も重要

 岡先生はフォワード戦に勝たなければ試合に勝てないとの強い考えをお持ちでした。特にスクラムに重点を置かれ、当時はルールでスクラムは10人で組んでも良かったので、マイボールの攻撃の時にはバックスの二人の選手(フォワード出身)が参加し、スクラムを10人で組む時間帯(Aアタック)を作りました。

 この時間帯には、バックスで大きく外側に展開すればトライが取れると予想できても、外側に大きく展開することをやめ、バックスは全てのアタックをフォワード周辺に走り込み、ラックも二人数の多いフォワード周辺で戦うことを決めました。

 そして全てバックスに回して勝負する時間帯(Bアタック)を決めました。


戦略の実施順序の重要性


 岡先生は時間帯の実施順序をAアタックから入り、その後Bアタックと決め、その時間帯、例えばAアタックの時には外へ展開すればトライが取れると予測できても、内側に入り、バックスもフォワード戦に参加するなど戦力をFW戦に集中し、それを繰り返すことで早い時間帯に相手フォワードを粉砕する時間帯を作り、相手のフォワードの動きが止まると、今度はBアタックでフォワードもバックスのアタックに参加するなど、徹底的に外へ展開し、またAアタックの時間帯にもどし、フォワード戦に15人が集中し、フォワード戦を有利に導くものでした。


 岡先生が私に言われたことは「俺はお前の判断力はわかっている。お前が外へまわし、トライを取れると判断したのであれば、必ずトライが取れると思う。しかし、その時間帯に必要なことはトライを取り、ゴールキックなどで敵のフォワードに休みを与えることではなく、連続して全員集中的繰り返しフォワード戦を行い、敵のフォワードを完璧に消耗させ、後半の後半に勝負をすることだ」。


 これはすごいことだと思いました。

 スクラムを二人多い10人で組み、そしてバックスに回すとインサイトセンターの私がフォワードに向かって走り込み、相手のフォワードにタックルをされながら味方のフォワードにパスをすると、その次のラックは7人の相手フォワードに対し、10人のフォワードで戦うことができるからです。


 このような体験をしていたので、卒業してPERTの理論の存在を知った時、岡先生の理論と似ていると感じ、やらなければならない作業(Project)の全体像と完了までの時間をイメージして、その実施順序と集中して繰り返すことで効率を上げることを意識するようになりました。


星名理論と岡理論をYouTubeに適用。


 YouTubeを始めた時も、この星名先生の主体的思考と岡先生のプロジェクト(作業)の実施順序の考え方を適用させてもらいました。


 まず私はラグビーの試合時間やプロジェクトの完了時間に相当する期間を3年間と定めました。



 そしてラグビーのフォワード戦にあたるインターネットビジネスなどで最も重要なことはSEO(検索エンジン最適化、Googleの検索で上位に表示される事)で、これにはまず、動画の投稿数を圧倒的に多くするのが良いと判断したので、まず1万本の動画の投稿を目指しました。


 一応YouTubeの視聴回数の稼ぎ方などいろいろなチャンネルで勉強しました。

 ほとんどの意見がYouTubeに投稿するのは、多くて1日1本。通常は1週間に2本か3本というのが圧倒的でした。


 私はまず検索に使う言葉をチャンネルのタイトルに入れることを考えました。

   YouTubeが検索しやすいように、チャンネルのアドレスをアルファベットと数字の組み合わせたハンドルネームが申請できることを発表しました。


 私は受付開始の日にsunset111を申請し認証してもらえました。これは全くの偶然ですが、シッチェスは夕陽が非常に綺麗です。私の名前Yujiはスペイン語でユーヒと発音するからです。数字は愛犬ルディの誕生日が1月11日なので111とすることにしました。

 タイトルにもrugby sitges sunsetを入れて、ブログやTwitter等にも入れて多い時には一日に100本近く投稿を繰り返しました。YouTubeは1日の投稿数が100を超えると、ペナルティーで翌日の投稿はできません。


 その結果タイトルを変更して半年もたないうちに、sunset 111を入れるだけで、Googleの検索の結果のトップと2番目は、私のYouTubeで、ブログやTwitterなどで上位をほぼ独占するようになりました。


これは結構すごいことだと思っています。私の検索は全てアルファベットと数字だけですので、検索対象は世界中と言うことになります。


例えばsunset111 dog と入れるだけで、私のYouTubeの犬の動画がGoogleのトップにリストアップされます。また私のラグビーの後輩がkiyomasaと言う名前の犬の動画を送ってくれたのでkiyomasaをタイトルに入れてアップロードしたところ、sunset111 kiyomasa と入れるだけで検索のトップや上位に彼の動画が続きます。


インターネットの世界に国境はありません。私のチャンネルの視聴者はスペイン語圏は25%位で日本とほぼ同じです。


そしてこれからの情報はライブ(live)で双方向(interactive )になっていくと思います。


YouTubeの動画をライブで配信する数を多くすることにしました。タイトルはSitges live news で毎日ビーチ周辺の様子を1-2分のライブで20本前後配信しています。


2022年6月24日 登録


現在の投稿数  21440本


登録者数   1170人


視聴回数   631000回


  2025年01月11日 現在


2024-09-20

主体的思考で可能となった戦略の実践

  星名先生の「極端に浅いアタックライン」はタックルポイントをアタックする側が決めると言う主体的な思考によるものです。タックルポイントはタックルする側(ディフェンスする側)が決めると言うのが常識でした。

 岡先生は前提となっている常識みたいなものさえ疑って、既成の枠にこだわらない、自由な発想を持っておられたように感じました。岡仁詩先生の自由な発想などは星名秦先生の影響が大きかったと思います。
 岡先生講演録「教わり、教え、教えられ」では次のように書いておられます。

自分で考え、判断して、行動し、責任を持つ 
 星名先生からいろいろなことを教わりました。今はルール上、スクラムは八人でしか組めませんが、当時のルールでは十人でスクラムを組んでもいいのだよと。スクラムの強さが試合を大きく左右することから考えられたのですが、私たち(学生時代)には、全く思いもつかないことで、驚きでした。要するにルールをよく理解すれば何でもできる、決められた形はないということです。

 「ラグビーはフォワード戦に勝たなければ試合に勝つことはできない」と考えていた岡先生は特にスクラムにこだわり、10人でスクラムを組むことを考えられました。それだけでなく、フォワード戦を有利に戦うために、徹底的に敵のフォワードを疲労させる時間配分まで考えられました。このような発想は主体的思考になって初めて可能となるものです。
 これを最初から考えていたのかどうか知りませんが、バックスに二人のフォワードの選手を使っていました。
 ナンバーエイトの石塚がセンターでフロントローの西村がウイングです。どちらも私と同期で1年生から試合に出ていた選手です。当時の同志社はフォワードに優秀な選手が多く、怪我人が出てもメンバーの交代はできないので、ポジションにはこだわらず、最強のメンバー15人で戦うことを考えておられたようです。
 
 このフォワードのプロの二人がマイボールのスクラムに参加して、すぐにボールを出さずにスクラムを押し続け、そしてスクラムサイドを攻撃します。これをAアタックとして20分間ほど続けます。相手の意識がフォワードに集中した頃を見計らい、今度はBアタックとして徹底的にバックスに回します。
岡理論Pert図 3 
  相手のフォワードを疲労させるために、相手フォワードの後ろにキックをして味方フォワードを前に走らせるのと、フォワード周辺へボールを集めて勝負するAアタックを実践するためにはバックスにボールが回ってきた時、相手のディフェンスの出方に合わせて動くのではなく、主体的に内側のフォワードに近い所に走り込むことが必要です。
 フォワードも事前にそのことを知っているので、それに対応した走りで無駄なくボールに絡むことが出来、攻撃を続けることで優位に戦い続けることができるものです。

  相手のディフェンスの出方に合わせる受動的思考では効果があまりありません。

 PERTでは各工程を「前の工程が終わらないと次の工程が始められない」という依存関係に従って矢印で繋いでいきます。
 そのため、「Aアタックでフォワード戦を中心に戦い、相手フォワードの体力を消耗させてしまっておく」完了形を意識しました。
3年日大戦、写真 渡辺トライ
写真中央で立っているのが私です。

 岡先生の指示は図の様なものでしたが、実際の大学選手権での日大との試合では、AアタックとBアタックの切り替えの時間は、状況判断で私に任されていたので、私は前半Aアタックを30分間続けてBアタックを10分で終え、後半はAアタックから開始し、日大のフォワードが疲労で動きが遅くなったのと、リードされていたので10分ほどでCアタックに切り替え、新聞の記事にあるようにすぐにトライを取り、逆転し、その後はフォワードが圧倒して試合に勝ちました。

 詳しくはこちらの星名理論と岡理論 33  戦略の順序と時間配分 7をご覧ください。

星名先生の「極端に浅いアタックライン」

  星名先生と岡先生に共通しているところはラグビーの本質的なもので、「地域を取り合うゲームなので、前に向かって走っている選手が多いほど有利である」と言うことです。

 ラグビーの不変的なルールとして、「パスは前にしてはいけない(スローフォワード」「ボールを持っていない選手にはタックルをしてはいけない」と言うものがあります。
 
 当時深いアタックラインが常識であった時代ですが、その中で星名先生は極端に浅いアタックラインを考え出されました。「タックルする場所はディフェンスする側が決める」と言う常識的は思考とは全く逆の、「タックスされる場所はアタックする側が決める」と言う、天動説の時代に地動説を唱えるような、真逆な発想を教えてくださいました。
 
 最初の立ち位置はスクラムからの時はスタンドオフの横一線に並びます。まずスクラムの中にボールがあるときにインサイドセンターはスタートを起こします。相手のディフェンスLINEはまだボールがスクラムの中にあるのでスタートは起こせません。大体の時間はスクラムからボールがでる1-2秒前です。
 スタンドオフはスクラムからボールが出ると同時にスタートを起こします。
 相手のディフェンスはスクラムからボールが出たのを確認してから前に走り始めます。そのためスタートはさらに少し遅れるものとなります。
星名理論5月–-
 スタンドオフもまっすぐスタートしボールを受けて相手のタックルが届く少し前で横に長いパスをします。インサイドセンターはスタンドオフより前に走っているのですが相手のディフェンスはこれ以上前に走るとボールを持っていないセンターにぶつかるので途中で待つしかありません。
 
 相手のセンターが立ち止まった瞬間にインサイドセンターは横に大きく走ります。助走をつけながら走り込んでいくセンターと立ち止まって待っている相手のセンターでは助走をつけて走り込むセンターの方が有利です。
 
 星名理論はスタンドオフとインサイドセンターの動きが鍵になります。特に重要なのはインサイドセンターの走りで、横へ走るスピードです。私は体重が60キロ弱で横へ走るスピードが速かったのですが、他の選手は体ががっちりして縦に強く、ぶつかりながら突破する選手が多かったので、なかなかうまくいかなかった様です。
 
 アニメでわかると思いますが、スタンドオフより早くスタートして、出来るだけ前へ出て、相手の選手を立ち止まらせる事が重要です。
 
 失敗してもほとんどゲインラインの近くまで走り込んでいるので、味方のフォワードが後ろに走る必要はあまりありません。バックスのもっとも重要な役割はフォワードを前に走らせる事です。