ラグビーにおける主体的思考とは 7 正の連鎖と相乗効果を起こす為に 3
私の名前、Yujiはスペイン語ではユーヒと発音します。 YouTubeで夕陽をsunsetとして、それに愛犬ルディの誕生日の1月11日を加え、sunset111をIDとしました。 私は同志社大学でラグビーをしていた時、コペルニクス的な展開を体験をしました。私が今、正に天動説の時代に生きている時に、全く真逆の地動説を初めて聞いたような衝撃でした。二人のラグビー界のレジェンド、星名 秦 (Hoshina Shin) 先生と岡 仁詩 (`Oka Hitoshi )先生に、今までの常識で前提となっていた考え方と全く真逆な考え方を教えてもらい、以後私の考え方は常識や前例に囚われない主体的な自由で柔軟なものになり、その後の私の人生に大きな影響を与えました。
2022-05-09
星名理論と岡理論 99 主体的思考による環境の最適化 16
2022-05-08
星名理論と岡理論 98 主体的思考による環境の最適化 15
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2022-05-04
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ラグビーにおける主体的思考とは 6 正の連鎖と相乗効果を起こす為に
2022-04-26
星名理論と岡理論 95 主体的思考による環境の最適化 12
ラグビーにおける主体的思考とは 4
東京外語大のラグビーから学んでほしいことがあります。主体的思考で徹底された、15人の選手のプレーが生み出す相乗効果です。
私は同志社大学卒業後、岡先生との約束通り、ほぼ20年近く、毎年同志社大学の夏合宿には臨時コーチとして参加していました。
また大学に在学中には同志社高校の夏合宿、さらには関西ラグビー協会の依頼により、富山国体の地元チームとして出場する全富山高校選抜チームの強化合宿にコーチとして2年連続で参加したり、卒業してからは友人の出身の高校、大学などの練習や合宿にも呼ばれて参加しました。
しかし、東京外語大のラグビーチームほど、1日で変身したチームは初めてです。その原因はほとんどの選手がラグビーを未経験で、勉強ばかりしていた選手がほとんどで、全員が素直に私の言う事を実践したからだと思います。
私はチームの決め事は決め事として尊重しますが、ラグビーは変化が常態で、その変化に対応するのは当たり前のことで、私自身が決め事をいつも破っていたので、全員が私の言った通りを本当に実行するとは思ってもいませんでした。
双方15人の選手が入り乱れて走り回るラグビーは、それぞれのマークの選手がいるので、どうしてもマークの選手の動きに対応してしまうのは仕方がないことです。それぞれの選手が試合になると、自分の走るコースを教えられ、そのコースを走る事を意識します。通常はこれが一番正しい、効果的な走るコースです。
例えば、フォワードの選手は最前線で相手とボールの取り合いをして、奪い取った場合は味方のアタックとなり、ボールは後ろにパスをされて進むので、選手は後ろに向かって走り始めます。
逆にディフェンスの場合は相手のバックスが後ろにパスをしながら攻撃してくるので、前に向かってカバーディフェンスに走ることになります。
ところが、東京外語大学がしたように、全てのアタックでボールを後ろにパスをすることがなく、前に向かってキックをして、それを全員が追いかけることを忠実に実行したら、全員が前に向かって走ることになります。
通常、全員に前に向かって走れと言っても、ほとんどのチームの選手は自分の経験してきたコースから大きく変わることはありません。数人は経験してきたコースを外れて前に走る選手がいますが、結果的には大きく戦況を変えることができず、通常に戻してしまいます。
この日の東京外語大は試合開始から本当に全員が前に向かって走り出しました。東工大の強い選手に大きく突破されると、前に向かって走っていた選手は、大きく後ろに向かって戻らなければなりません。ところがこの日は最初からこの東工大の強い選手に向かって数人が走り込んで行ったので捕まってしまい、この選手は前に走ることができませんでした。
東工大の強い選手がボールを持った場合、東工大の前にいる選手はその選手がボールを持って前に走ってきてくれるので、後ろに向かってフォローに走ることはあまりありません。ところがこの日はこの強い選手の前にいた選手は全員後ろに向かって走らなければなりませんでした。
ほとんどの選手が前に向かって走っている東京外語大の正の連鎖と、ほとんどの選手が後ろに向かって走っている東工大の選手の負の連鎖と、双方全員の相乗効果の差は、信じられないほど大きなものでした。
東京外語大に大勝したチームに、大勝した東工大に、東京外語大は大勝しました。
2022-04-16
星名理論と岡理論 94 主体的思考による環境の最適化 11
ラグビーにおける主体的思考とは 3
星名理論と岡理論 93 主体的思考による環境の最適化 10
ラグビーにおける主体的思考とは 2
この様なタイトルを見ると、何か哲学的な話の様に見えますが、私には自分の意思をはっきりと持ち、それを実践するために全力を尽くすだけのことの様に思えます。
前回の東京外語大のラグビーの続きですが、私は彼らにラグビーの技術的なことは何も教えられませんでした。星名先生の理論、岡先生の理論に基づいたプレーを色々教えたかったのですが、ラグビーの基礎プレーも満足にできる体を作っていなかった当時の選手たちに、わずか5日間ほどでは何も教える時間がありませんでした。
教えたのは「ボールは全て前に蹴れ、全員前に向かって走れ、ボールを持っている相手に一番近い選手がとりあえず捕まえろ、後は皆んなで押し倒せ」ということだけでした。
これも「教えた」というよりは「こう言って怒った」という方が正確です。私は同志社をはじめ、いくつかのチームに教えに行きましたが、大声で怒る様なことはしたことはありません。
最初の試合では私には同レベルと思えるチームに大敗し、最終日にはその負けたチームに大勝している東工大の試合に「負けるのがわかっているので試合をしたくない」と言っている選手がいたので、初めて怒りました。
力の差は歴然としていました。しかし全力で戦ってくれさえすれば、それで良いと思っていました。しかし、試合前の雰囲気はいつもと違っていました。もう涙ぐんでいる選手もいて、「思い切り前に走ります」という選手や「勝ちます」と言う選手まで出てきて、この時点で私はもう満足していました。
ところが試合になると、本当に全員が前に向かって走り出しました。相手に強い選手がいて突破されかけるのですが、一人や二人タックルを外されても、次から次へタックルに来るので、その強い選手も前に出ることができませんでした。だんだん勢いの差が出てきて、試合は圧勝でした。
もうラグビーの理論も技術も何もありませんでした。ただ全員がボールを持っている選手のところへ全力で走り込んでいるだけでした。1人目は外される。2人目が少し触り、相手のスピードが緩み、走るコースが決まる。3人目が捕まえる。4人目がそれに加わる。5人目が加わって押し倒す。
この様な感じで、ポジションも関係なく、全員が前に向かってボールを持っている相手を捕まえに走っていくことに意識が徹底されている様でした。この様なディフェンスをされたら、私が相手チームでプレーしていても、突破することは難しいのではと感じたほどでした。
ラグビーは本質的には地域を取り合うゲームです。ルールでパスは後ろにしかできません。ボールを持っている選手より前の位置にいる選手はプレーに参加できません。敵味方、30人の選手が入り乱れて走り回ります。普通はポジションごとにマークする選手が決まっており、それぞれの役割が決まっています。しかし、そのポジションを全員が無視し、15人全員がボールを持っている選手に向かって走ってきたら、どの様に走ったら良いのか私でも想像できません。
これはラグビーの常識を無視し、「全員がボールに向かって全力で走る」と言うことだけに、意識が徹底し、主体的な思考に全員がなったことで初めて可能になったものだと思われます。
ラグビーの素晴らしさを逆に教えてもらった様な気がしました。
ラグビーをすることで自分の意思で環境の最適化を考えるきっかけを掴んでほしいと思っています。
星名理論と岡理論 92 主体的思考による環境の最適化 9
ラグビーにおける主体的思考とは
ラグビーをして行く中で、「性格は大雑把でいい加減な、良い言葉で言い直すと、寛容で柔軟性があり、他人の価値観と多様性を認める人間」になっていく確率が高くなります。
でもこれらはラグビーのプレーとは関係ありません。私は「他人の価値観と多様性を認める」方が「主体的思考になる」よりは重要だと思いますが、せっかくラグビーをするのであれば、主体的な思考を持つ様になって欲しい、と思っています。
主体的な思考になるのは比較的簡単です。星名先生の理論の極端に浅いアタックラインは主体的な思考になって初めてできるものですが、スタンドオフの選手のパスの能力とインサイドセンターの横に伸びるスピードと、二人のタイミングが取れて初めて実践できるもので、少し時間がかかると思います。
主体的な思考に1日で変わったチームもあります。東京外語大学のラグビーの選手達は夏合宿で1日で主体的思考に変わりました。
ほとんどの選手が大学に入ってからラグビーを始めて、体力も技術もラグビーの選手としては高いものではありませんでした。合宿の最初の練習試合では大敗しました。合宿の最終日にはその大敗しているチームに大勝している東工大との試合することになっていたのですが、「負けるのがわかっているのだから試合はしたくない」と言う声も聞かれました。
しかし、試合になり、「全員が前に向かって走れば勝てる」と言う岡先生の理論を実践し、東工大に大勝しました。
これは相手の動きとは全く関係なく「チーム全員が前に向かって走る」と言う主体的な思考でチーム全員が徹底された結果です。
後日、当時監督だった千葉さんは「この合宿で選手たちは何かを掴んだみたいで、ラグビーの戦績もよく、人間として大きく成長したみたい」と感謝されました。
この時の話はブログを始めてから一度書いたのですが、この頃はまだ主体的思考に私自身が気づいていなかったので、岡先生のラグビー理論を実践したから勝てたと思っていました。しかし「人間として大きく成長したみたい」の部分は岡先生の理論では説明ができません。多分、選手たちは知らず知らずのうちに主体的思考を体験していたのではと思います。
東京外国語大ラグビー合宿の続きはこちらから。
星名理論と岡理論 91 主体的思考による環境の最適化 8
性格は変えられないが思考は変えられる。
無口で、照れ屋で、口下手で、表現能力に欠けた私は、仲間内の食事会などでもほとんど聞き役で、自分から話すことはほとんどありませんでした。この性格は今でも変わっていません。もう人生も終わりに近いので死ぬまで変わることはないと思います。
主体的思考の人のもっとも象徴的な特徴は、「行動や発言が積極的」だと思います。性格だけ見ると、私はもっとも受動的思考で、とても主体的思考ができる様な性格ではありません。
でも私の周囲を見回すと、体がデカくて、声が大きくて、積極的に行動する輩は多い様に感じます。でもそれらの人が主体的思考を持っているかと言うと、そうでもない様に思います。
教育の専門家ではありませんが、日本の教育制度でほとんどの日本人は受動的思考になる様に教育を受けていたのではと感じます。
星名理論と岡理論 90 星名理論のアニメーション 2
星名理論とそれ以前との比較
星名理論と岡理論 89 星名理論のアニメーション
星名理論と岡理論 88 主体的思考による環境の最適化 7
私が星名先生、岡先生から引き継いだもの。
当然、私が両先生から引き継いだものは「自由な発想」と「主体的な思考」のようです。でも、これに気づいたのが半世紀以上経った、もう人生の終わりも間近の最近というのが私らしいところです。
私が星名先生にグランド以外でお会いしたのは2回だけです。一度は卒業間近、京都の同志社のグランドがあった近くの三宅八幡駅の近くのご自宅に、キャプテンの石塚と一緒にお邪魔しました。
卒業して広告代理店に勤務していた時、毎日放送でよく面倒を見ていただいた、京大のボクシング部のOBの森さんと一緒に、軽井沢の星名先生の別荘にお邪魔した事があります。
森さんがイギリスのBBCが放送したラグビーの世界選抜とイングランド代表の試合の放送権を手に入れ、なんとか日本で放送したいので、星名先生の力を借りたいとのことで、京大ラグビーのOBの石田さんと一緒に、別荘にお邪魔しました。そして星名先生の力添えで新日鉄の提供していた番組の中で放送する事ができました。
当時、まだ世界のラグビーの情報が全く入ってこない時期での初めてと言っても良いような、素晴らしい試合の放送でした。
岡先生とは卒業してから20年近く、毎夏、同志社の合宿には臨時コーチとして2週間参加し、大学選手権などで同志社が上京した時は宿舎に同宿しました。
また住んでいたのが南青山、元麻布と都心で便利で、独身時代が長かったので岡先生は気軽に、泊まりに来られ、ラグビーの話を夜遅くまでしていました。
ですので、岡先生のラグビー理論は私が一番理解していると自負しています。
ラグビーを始めたおかげで、自分は得るものが多かったと思ってはいたのですが、何がどのように自分に影響を与えたのか、考えた事がありませんでした。
これは私だけではなく、ラグビーをした多くの人が、「ラグビーをして良かった」と感じていると思いますが、これは他のスポーツをしている人も同じです。他のスポーツをした人も「そのスポーツをして良かった」と思っている事でしょう。
でも、私はラグビーだからこその、何かがある様に感じていました。私のラグビーの友人の多くは、大雑把でいい加減です。良く言えば、「他人の価値観を認め、多様性を認める」とも言えます。
何故、この様な性格になっていくのか、
そのキーワードとなるのが「主体的思考」だと考える様になりました。
星名理論と岡理論 87 主体的思考による環境の最適化 6
星名先生から岡先生に引き継がれたもの
星名先生から教えを受けた岡先生に引き継がれたものは「自由な発想」と「主体的な思考」のようです。
岡先生の講演録「教わり、教え、教えられ」では次のように書かれています。
2022-03-17
星名理論と岡理論 86 主体的思考による環境の最適化 5
星名理論が生まれた時代背景
2022-03-14
星名理論と岡理論 84 主体的思考による環境の最適化 3
星名理論に主体的と言う言葉を選んだ理由
コーチングには言葉が重要です。
私はブログを始めるにあたり、使う言葉に結構注意を払う様にしました。
スペインに来て2年ほどで、ラグビーを始めて半年ほどで、成り行きでカデテス(15歳−17歳の選手)のコーチになってしまいましたが、スペイン語がもう少し話せる様になるまで、待つべきでした。コーチには言葉が重要であることを岡先生から教えていただいていました。
良くある事ですが、複数のコーチが教える時、考え方、話す言葉等を事前に良く打ち合わせして統一しておかないと、同じ事を違う言葉で伝えると、選手が迷う時があります。同志社がニュージーランドからFWコーチにホックリーさんを迎え、初めて日本にモールの技術を持ち込んだ時、岡先生は使う言葉を決めました。
それまでの寝こんで重なりあうラックから、立って歩きながら押し込んでいくモールに、後から参加する選手に「突っ込め」と指示するOBに「モールに入れ」「足を前に動かせ」と言う様に徹底しました。寝ころんで重なっているラックに「姿勢を低くして突っ込め」と言われると、「飛び込む」様な意識になってしまい、突っ込んだ時点で終わってしまいます。しかしモールは立って押し合うので、足を前に動かさないと前に進みません。同じ人数で押し合っているのなら一人でも足を前に動かせようとする選手が多い方がモールを押し込めます。
無口で、照れ屋で、人前で話すことが苦手な私は、勿論、まともな文章も書けないので、それからパソコンを買い、文章やマーケティング戦略を書く練習を始めました。人前で話すことはまだほとんどできませんが、マーケティング戦略などは書ける様になりました。 でも私が書くマーケティング戦略はチャート式で文章にはなっていませんが。
パソコンには助けられています。最近はほどんどGoogleのドキュメントを使って書いているのですが、間違った文字や表現は直してくれるし、同義語、反対語などもすぐに調べられるし、キーワードとなる単語は慎重に選んでいます。
今回は受動的の反対語を調べ、「能動的」「主体的」などでてきたのですが、星名先生や岡先生の影響はラグビーだけではなく、仕事や生き方までに及んでいるので、主体的の方が良いと思い、決めました。
今一番好きな岡先生の言葉です。
受動的思考にはなりたくないと思っています。
星名理論と岡理論 83 主体的思考による環境の最適化 2
受動的思考からの脱却
星名理論と岡理論の考え方についてを端的に表す言葉として「主体的思考による環境の最適化」という言葉を使いました。
ラグビーは本質的には地域を取り合うゲームですので、少しでも前へ(相手のゴールラインに向かって)出ると言うことが非常に重要なことです。
ルールでスローフォワード(前方にパスはできない)、オフサイド(ボールを持っている選手より前の選手はプレーできない)があるので、味方のフォワードはスクラム、ラインアウト、ラックなどでボールを奪取し、バックスに提供した段階で、味方のバックスが自分達より前の場所にボールを持って走り込むまでプレーに参加できません。
私がラグビーの試合でやっていたことは「相手の出方に合わせて、突破するポイントを出来るだけ前(相手に近い所)にする」と言う、受動的な思考でした。その思考の元では、突破する以外、相手との中間点(想定されるタックルポイント)より前方に走り込む事はなかなかできませんでした。