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2022-05-09

星名理論と岡理論 99 主体的思考による環境の最適化 16

 ラグビーにおける主体的思考とは 7 正の連鎖と相乗効果を起こす為に 3

 
 ディフェンスで飛び出して、相手陣の深い所で倒したとしても、アタックで自軍の深いところで倒されると、これでは五分五分で正の連鎖と相乗効果を起こすことはできません。
 ディフェンスだと主体的思考になりやすく、アタックでは相手の出方に合わせる受動的思考になりがちです。常識的には相手のディフェンスの出方を見て、アタックの仕方を決めるのが普通です。 相手が飛び出してくるディフェンスであれば、少し前に出るのを控えるし、相手がゆっくりと出てくるディフェンスであれば、少し前に出て勝負するというのが、普通です。
 
 星名先生はタックルポイントをアタックする側が決めるという、それまでの発想とは真逆の、天動説の時代に地動説を説くようなコペルニクス的転回といった理論を私たちに教えてくれました。これによりアタックにおいても主体的思考が可能になりました。
星アニ1
 私が「極端に浅いアタックライン」と名付けたスタンドオフの横一線にセンター二人が並びスタンドオフより早くインサイドセンターがスタートするものです。
 通常、それぞれの選手がボールを持って対面の選手がタックルする場所(タックルポイント)を繋いだ線、タックルラインが想定できます。これはほとんどの場合、アタックラインとディフェンスラインの中間地点です。図では一番下の点線が想定されるタックルラインです。

 インサイドセンターがボールを持っていない時にはこのタックルラインに入るとディフェンスの対面の選手はボールを持っていないのでタックルすると反則になるので、立ち止まるしかありません。
 まずインサイドセンター(赤の選手)はボールがスクラムから出る少し前に一人だけ前に走り出します。敵はまだボールがスクラムの中にあるので前には走れません。
星アニ8
 次にスクラムからボールが出ると同時にスタンドオフが真っ直ぐ、ボールを受けに走り込みます。
星アニ9
 相手のインサイドセンターはそのまま前に走ると対面のインサイドセンターにぶつかり、ノーボールタックルの反則となるので、少し手前で立ち止まって待ちます。
星18
 スタンドオフはそのまま前に走りタックルされる寸前に横に長いパスを送ります。インサイドセンターは相手が立ち止まった瞬間に、横へ大きく走り、走りながらボールをもらいます。

 立ち止まっている相手のインサイドセンターより加速をつけて走り込んでいる選手の方が早いので相手はタックルをすることができません。
星19
 もし相手がタックルをできたとしても、ほとんどゲインライン近くなので味方のフォワードは後ろに向かって大きく走る必要はありません。もし突破すれば、全員が前に向かって走ることができます。
 ラグビーは攻守にわたり、主体的思考で前に向かって走る選手の数を多くすることによって、初めて、正の連鎖と相乗効果を起こすことが可能になります。

 明日はこの概念図をアニメのように動かしてみたいと思っています。
 

2022-05-08

星名理論と岡理論 98 主体的思考による環境の最適化 15

 ラグビーにおける主体的思考とは 6 正の連鎖と相乗効果を起こす為に 2


 自分のチームに正の連鎖と相乗効果を起こす一番手っ取り早い方法は全力で飛び出すデイフェンスでできるだけ前でタックルし、相手に負の連鎖を起こさせることです。そして今までの常識を全て捨て去り、ボールを持っている相手をできるだけ前で倒す主体的思考で、本能のような直感に従ってプレイすべきです。

 多くのチームが、バックスのディフェンスは横一線で揃ってスタートするように教えられます。これでは一番遅くスタートする選手に揃えることになります。
 重要なことは全員が前に向かって全力で走るということで、問題なのはスタンドオフやインサイドセンターがどうせタックルは届かないと思い、少し前に飛び出した後で、スピードを緩めるか横に向かってカバーディフェンスに走ることです。そうすると相手のスタンドオフやインサイドセンターが前にボールを持って走ってくるので、アウトサイドセンターはタックルに入りにくくなります。

 通常は横一線に揃えて出る方が突破されにくいのですが、私はいつも全力で真っ直ぐに前の二人より早く、飛び出していました。多くのチームは私の飛び出しを見ると、少し前に出るのを控えたり、横へ走ったりで、受けるポイントが想定できるタックルラインより、後ろ(こちらから見ると前)でボールを受けようとします。

 そうするとスタンドオフとインサイドセンターの二人は、できるだけ前でタックルした方がチームのためには良いことはわかっているので、私に合わせて、前に飛び出すようになってきます。
飛び出すディフェンス1
 主体的思考のできる選手は、常識や決め事よりも、今の状況ではどうすることがチームのためになるのか考えながらプレーするので、私がタックルしやすいようにカバーに入ります。
 そして私がタックルをしたら、スタンドオフかインサイドセンターのどちらか一人が私がタックルしたポイントにに入って来て、肩をつけると、もうこれはラックとなり、その場所より前にいる相手の選手は全員がオフサイドとなり、プレーに参加するにはラックのポイントより一度後ろに戻らなければ参加できません。

 逆に味方のフォワードは全員オンサイドの位置にいるので、そのまま勢いをつけてラックに走り込むことができます。このようなプレイを試合開始から終了まで続けることです。
 相手には悪循環(負の連鎖)による負の相乗効果が、味方には正の連鎖による正の相乗効果があり想像以上の力の差が出てきます。

 このように書くと非常に簡単なように感じますが、主体的思考になるには特に日本人には結構難しいことです。小さい時から周囲との調和を教えられ、その枠から出ようとしない思考の元ではチームワークなどという綺麗な言葉で、戦況が変化しているのに、最初の決め事を守る意識が強いためです。

 通常の指導者であれば、私が決め事を破り、一人大きく飛び出して相手に突破されたら、私を注意するのが普通です。岡先生からは一度もこのことで叱られたことはありませんでした。

 当時、私たち3人の走力はほとんど同じでした。その中で私が飛び出すことができたのは、他の選手が揃って出ることに意識がいくあまり、80%のスピードをトップスピードと思い込んでいたのですが、私は本当に全力で飛び出していたからです。

 ラグビーは地域を取り合うスポーツで、変化が常態です。一番先頭で前に向かって走っている選手を生かすべく、後の選手が主体的思考でそれに対応すべきです。常識的な決め事は無視して当然です。
 

2022-05-04

星名理論と岡理論 97 主体的思考による環境の最適化 14

 ラグビーにおける主体的思考とは 6 正の連鎖と相乗効果を起こす為に


 東京外語大のラグビーが自分たちが大敗したチームに大勝している東工大に大勝したのは正の連鎖と相乗効果があったためでした。逆に考えれば、自分達より実力の優っているチームに勝つ為には、正の連鎖と相乗効果を起こすようなゲームをすれば良いということになります。

 ラグビーは本質的には地域を取り合うスポーツで、制約が少なく自由で変化が常態です。双方15人、合計30人の選手が入り乱れて走り回るラグビーは、チャンスが一瞬にしてピンチに変わり、柔軟な対応が必須となります。
 戦略的にはまず、自軍の選手15人が前(敵陣に向かって)に向かって走る場面をどのようにして作り出すかが重要になります。

 例えば、フォワードの選手は最前線で相手とボールの取り合いをして、奪い取った場合は味方のアタックとなり、ボールは後ろにパスをされて進むので、選手は後ろに向かって走り始めます。逆にディフェンスの場合は相手のバックスが後ろにパスをしながら攻撃してくるので、前に向かってカバーディフェンスに走ることになります。

 一番簡単な方法は1960年代にニュージーランドのオールブラックスが採用していたアップ・アンド・アンダーと呼ばれたスタンドオフがフォワードの前に高いキックを上げフォワードを前に走らせ、また次のボールも同じようにフォワードの前に高いキックを上げ、徹底的にフォワードを前に走らせる戦法でした。強い反面、10人ラグビーとも呼ばれ、ラグビーの面白さを無くすとの批判もあり、ルールなどがいろいろ改正されることになり、あまり使われなくなりました。

 ルールなどが改正されましたが、15人全員が前に向かって走るラグビーが有利なことは変わりません。基本的にはディフェンスは出来るだけ全員が全力で飛び出し、タックルポイントをできるだけ前(相手ゴールラインに近く)に押し込むこと(岡理論)と、アタックではできるだけ浅いアタックラインでできるだけ前で、フォワードを後ろに走る事が少なくなるように意図したプレーをする事(星名理論)です。

 ここまではもう今の日本のラグビーはほとんどのチームがやっている事です。その中で勝ち残っていくチームには正の連鎖と相乗効果を生み出す何かが存在しているものと考えられます。
 私はこれが主体的思考ではないかと考えています。

自分で考え、責任を持つ

 ラグビーは変化が常態なので、その変化に対応するのは当たり前のことで、それぞれのマークの選手がいるので、どうしてもマークの選手の動きに対応してしまうのは仕方がないことです。
 それぞれの選手が試合での自分の走るコースを教えられ、そのコースを走る事を意識します。通常はこれが一番正しい、効果的な走るコースです。

 そのため、全員に前に向かって走れと言っても、ほとんどのチームの選手は自分の経験してきたコースから大きく変わることはありません。数人は経験してきたコースを外れて前に走る選手がいますが、それでは結果的には大きく戦況を変えることができず、通常に戻してしまいます。マークの選手の動きに対応してしまうのは仕方がないことです。
 しかし、これは相手の動きに合わせる受動的思考で、自分で考えた前に向かって走る主体的な思考ではありません。

 15人全員が、前に向かって走るには、どのようなコースを走れば良いのか、「自分で考え、判断して、行動し、責任を持つ」と言う主体的思考のもとにプレイをすれば、初めて定番的な過去の経験から判断したプレイから脱却できるものです。

 こうすることで初めて全員が前に向かって走る、連鎖が生まれ、個々の選手の能力以上の相乗効果が生まれて、前に向かう力が個々の能力以上の効果を発揮するわけです。

2022-04-26

星名理論と岡理論 95 主体的思考による環境の最適化 12

ラグビーにおける主体的思考とは 4 

 東京外語大のラグビーから学んでほしいことがあります。主体的思考で徹底された、15人の選手のプレーが生み出す相乗効果です。

 私は同志社大学卒業後、岡先生との約束通り、ほぼ20年近く、毎年同志社大学の夏合宿には臨時コーチとして参加していました。

 また大学に在学中には同志社高校の夏合宿、さらには関西ラグビー協会の依頼により、富山国体の地元チームとして出場する全富山高校選抜チームの強化合宿にコーチとして2年連続で参加したり、卒業してからは友人の出身の高校、大学などの練習や合宿にも呼ばれて参加しました。

 しかし、東京外語大のラグビーチームほど、1日で変身したチームは初めてです。その原因はほとんどの選手がラグビーを未経験で、勉強ばかりしていた選手がほとんどで、全員が素直に私の言う事を実践したからだと思います。

 私はチームの決め事は決め事として尊重しますが、ラグビーは変化が常態で、その変化に対応するのは当たり前のことで、私自身が決め事をいつも破っていたので、全員が私の言った通りを本当に実行するとは思ってもいませんでした。

 双方15人の選手が入り乱れて走り回るラグビーは、それぞれのマークの選手がいるので、どうしてもマークの選手の動きに対応してしまうのは仕方がないことです。それぞれの選手が試合になると、自分の走るコースを教えられ、そのコースを走る事を意識します。通常はこれが一番正しい、効果的な走るコースです。

 例えば、フォワードの選手は最前線で相手とボールの取り合いをして、奪い取った場合は味方のアタックとなり、ボールは後ろにパスをされて進むので、選手は後ろに向かって走り始めます。

 逆にディフェンスの場合は相手のバックスが後ろにパスをしながら攻撃してくるので、前に向かってカバーディフェンスに走ることになります。

 ところが、東京外語大学がしたように、全てのアタックでボールを後ろにパスをすることがなく、前に向かってキックをして、それを全員が追いかけることを忠実に実行したら、全員が前に向かって走ることになります。

 通常、全員に前に向かって走れと言っても、ほとんどのチームの選手は自分の経験してきたコースから大きく変わることはありません。数人は経験してきたコースを外れて前に走る選手がいますが、結果的には大きく戦況を変えることができず、通常に戻してしまいます。

 この日の東京外語大は試合開始から本当に全員が前に向かって走り出しました。東工大の強い選手に大きく突破されると、前に向かって走っていた選手は、大きく後ろに向かって戻らなければなりません。ところがこの日は最初からこの東工大の強い選手に向かって数人が走り込んで行ったので捕まってしまい、この選手は前に走ることができませんでした。

 東工大の強い選手がボールを持った場合、東工大の前にいる選手はその選手がボールを持って前に走ってきてくれるので、後ろに向かってフォローに走ることはあまりありません。ところがこの日はこの強い選手の前にいた選手は全員後ろに向かって走らなければなりませんでした。

 ほとんどの選手が前に向かって走っている東京外語大の正の連鎖と、ほとんどの選手が後ろに向かって走っている東工大の選手の負の連鎖と、双方全員の相乗効果の差は、信じられないほど大きなものでした。

 東京外語大に大勝したチームに、大勝した東工大に、東京外語大は大勝しました。

葉さんたちの写真
東京外語大のラグビーに貢献された中村さん、伴野さん、千葉さんです。

2022-04-16

星名理論と岡理論 94  主体的思考による環境の最適化 11

 ラグビーにおける主体的思考とは 3


 ラグビーはディフェンスの時の方が主体的思考を持ち易いと感じています。前回の東京外語大のラグビーの続きですが、教えたのは「ボールは全て前に蹴れ、全員前に向かって走れ、ボールを持っている相手に一番近い選手がとりあえず捕まえろ、後は皆んなで押し倒せ」ということだけでした。
 ラグビーはボールを後ろにパスをしながら攻撃します。「ボールは全て前に蹴れ」と言うことはアタックをすることをやめて、全てディフェンスをする事と同じです。

 岡先生が強力フォワードで日本一になった時もスクラムはマイボールでも自分のサイドにフッキングするのではなく、相手のフォワードの方へ蹴り込んで、相手側のアタックボールとしてディフェンスのタックルでフォワードを前に走らせる環境を作りました。

 アタックの時は相手のタックルしに来る動きに合わせる受動的な思考で自分の動きを決めます。ところがディフェンスでタックルしにいく場合は、主体的にその動きを決めることができます。
 東京外語大の選手は本当に全員が全力で、ボールを持っている相手に向かって、前に向かって走り出しました。これほど全員が自分の意思で、主体的思考で徹底された、プレーをする15人の選手の相乗効果は初めて見た様に感じました。 実力差は相当ありましたが、主体的思考で強敵に勝つことができましたl。

 岡先生のいう通り「自分で考え、判断し、行動して、責任を持つ」と言う「主体的思考」でもって、15人の選手が前に向かって走ることができる最適の環境を作ることが重要です。


星名理論と岡理論 93  主体的思考による環境の最適化 10

ラグビーにおける主体的思考とは 2

  この様なタイトルを見ると、何か哲学的な話の様に見えますが、私には自分の意思をはっきりと持ち、それを実践するために全力を尽くすだけのことの様に思えます。

 前回の東京外語大のラグビーの続きですが、私は彼らにラグビーの技術的なことは何も教えられませんでした。星名先生の理論、岡先生の理論に基づいたプレーを色々教えたかったのですが、ラグビーの基礎プレーも満足にできる体を作っていなかった当時の選手たちに、わずか5日間ほどでは何も教える時間がありませんでした。

 教えたのは「ボールは全て前に蹴れ、全員前に向かって走れ、ボールを持っている相手に一番近い選手がとりあえず捕まえろ、後は皆んなで押し倒せ」ということだけでした。

 これも「教えた」というよりは「こう言って怒った」という方が正確です。私は同志社をはじめ、いくつかのチームに教えに行きましたが、大声で怒る様なことはしたことはありません。

 最初の試合では私には同レベルと思えるチームに大敗し、最終日にはその負けたチームに大勝している東工大の試合に「負けるのがわかっているので試合をしたくない」と言っている選手がいたので、初めて怒りました。

 力の差は歴然としていました。しかし全力で戦ってくれさえすれば、それで良いと思っていました。しかし、試合前の雰囲気はいつもと違っていました。もう涙ぐんでいる選手もいて、「思い切り前に走ります」という選手や「勝ちます」と言う選手まで出てきて、この時点で私はもう満足していました。

 ところが試合になると、本当に全員が前に向かって走り出しました。相手に強い選手がいて突破されかけるのですが、一人や二人タックルを外されても、次から次へタックルに来るので、その強い選手も前に出ることができませんでした。だんだん勢いの差が出てきて、試合は圧勝でした。

 もうラグビーの理論も技術も何もありませんでした。ただ全員がボールを持っている選手のところへ全力で走り込んでいるだけでした。1人目は外される。2人目が少し触り、相手のスピードが緩み、走るコースが決まる。3人目が捕まえる。4人目がそれに加わる。5人目が加わって押し倒す。

 この様な感じで、ポジションも関係なく、全員が前に向かってボールを持っている相手を捕まえに走っていくことに意識が徹底されている様でした。この様なディフェンスをされたら、私が相手チームでプレーしていても、突破することは難しいのではと感じたほどでした。

 ラグビーは本質的には地域を取り合うゲームです。ルールでパスは後ろにしかできません。ボールを持っている選手より前の位置にいる選手はプレーに参加できません。敵味方、30人の選手が入り乱れて走り回ります。普通はポジションごとにマークする選手が決まっており、それぞれの役割が決まっています。しかし、そのポジションを全員が無視し、15人全員がボールを持っている選手に向かって走ってきたら、どの様に走ったら良いのか私でも想像できません。

 これはラグビーの常識を無視し、「全員がボールに向かって全力で走る」と言うことだけに、意識が徹底し、主体的な思考に全員がなったことで初めて可能になったものだと思われます。

 ラグビーの素晴らしさを逆に教えてもらった様な気がしました。

 ラグビーをすることで自分の意思で環境の最適化を考えるきっかけを掴んでほしいと思っています。

大井さん ブログ Jpeg
 東京外語大の合宿の様子です。こちらからからご覧なれます。

星名理論と岡理論 92  主体的思考による環境の最適化 9

 ラグビーにおける主体的思考とは

 ラグビーをして行く中で、「性格は大雑把でいい加減な、良い言葉で言い直すと、寛容で柔軟性があり、他人の価値観と多様性を認める人間」になっていく確率が高くなります。

 でもこれらはラグビーのプレーとは関係ありません。私は「他人の価値観と多様性を認める」方が「主体的思考になる」よりは重要だと思いますが、せっかくラグビーをするのであれば、主体的な思考を持つ様になって欲しい、と思っています。

 主体的な思考になるのは比較的簡単です。星名先生の理論の極端に浅いアタックラインは主体的な思考になって初めてできるものですが、スタンドオフの選手のパスの能力とインサイドセンターの横に伸びるスピードと、二人のタイミングが取れて初めて実践できるもので、少し時間がかかると思います。

 主体的な思考に1日で変わったチームもあります。東京外語大学のラグビーの選手達は夏合宿で1日で主体的思考に変わりました。

 ほとんどの選手が大学に入ってからラグビーを始めて、体力も技術もラグビーの選手としては高いものではありませんでした。合宿の最初の練習試合では大敗しました。合宿の最終日にはその大敗しているチームに大勝している東工大との試合することになっていたのですが、「負けるのがわかっているのだから試合はしたくない」と言う声も聞かれました。

 しかし、試合になり、「全員が前に向かって走れば勝てる」と言う岡先生の理論を実践し、東工大に大勝しました。

 これは相手の動きとは全く関係なく「チーム全員が前に向かって走る」と言う主体的な思考でチーム全員が徹底された結果です。

 後日、当時監督だった千葉さんは「この合宿で選手たちは何かを掴んだみたいで、ラグビーの戦績もよく、人間として大きく成長したみたい」と感謝されました。

 この時の話はブログを始めてから一度書いたのですが、この頃はまだ主体的思考に私自身が気づいていなかったので、岡先生のラグビー理論を実践したから勝てたと思っていました。しかし「人間として大きく成長したみたい」の部分は岡先生の理論では説明ができません。多分、選手たちは知らず知らずのうちに主体的思考を体験していたのではと思います。

 東京外国語大ラグビー合宿の続きはこちらから

大井さん ブログ Jpeg
  この写真のブログの大井さんの記事も読んでいたただければ嬉しいです。
 詳しくはこちらをクリックしてください。
 PDFのファイルが小さいので拡大すれば読めると思います。
 下の方に私と千葉さんのことが書いてあります。
 私とは40年以上の付き合いになりますが、私は仲間の集まりでは無口でほとんど話すことはないが、一度だけ星名先生の理論を話したことがあると書かれています。

星名理論と岡理論 91  主体的思考による環境の最適化 8

  性格は変えられないが思考は変えられる。

 無口で、照れ屋で、口下手で、表現能力に欠けた私は、仲間内の食事会などでもほとんど聞き役で、自分から話すことはほとんどありませんでした。この性格は今でも変わっていません。もう人生も終わりに近いので死ぬまで変わることはないと思います。

 主体的思考の人のもっとも象徴的な特徴は、「行動や発言が積極的」だと思います。性格だけ見ると、私はもっとも受動的思考で、とても主体的思考ができる様な性格ではありません。

 でも私の周囲を見回すと、体がデカくて、声が大きくて、積極的に行動する輩は多い様に感じます。でもそれらの人が主体的思考を持っているかと言うと、そうでもない様に思います。

 教育の専門家ではありませんが、日本の教育制度でほとんどの日本人は受動的思考になる様に教育を受けていたのではと感じます。


 そのため、主体的思考になるには、私のようにそれを体験しないとなかなか受動的思考から抜け出せないのではと感じます。

 ラグビーと言うスポーツは体がデカくて、声が大きくて、積極的に行動するのは、そこら中にいます。彼らがラグビーのゲームの中で、選手としてチームに貢献できているかどうかは、全く別問題です。でも、ラグビーをして行く中で、「性格は大雑把でいい加減な、良い言葉で言い直すと、寛容で柔軟性があり、他人の価値観と多様性を認める人間」になっていく確率が高くなります。

 でもこれらはラグビーのプレーとは関係ありません。私は「他人の価値観と多様性を認める」方が「主体的思考になる」よりは重要だと思いますが、せっかくラグビーをするのであれば、主体的な思考を持つ様になって欲しい、と思っています。

 ラグビーをする人は、是非、星名先生の理論を試してみて、主体的思考を体験してみて欲しいと願っています。
 またラグビーをしない人も、小柄で声が小さくて消極的な人も、主体的な思考を試してみて、「自分で考え、判断し、行動して、責任を持つ」ことを心がけて、そしてそれを主張し、発信すれば、日本の劣化を止める事ができると思います。

自分で考え、責任を持つ
 私の好きな岡先生の言葉です。
 私の様な性格でも主体的思考になれることをいろいろ書いていきたいと思います。

星名理論と岡理論 90  星名理論のアニメーション 2

 星名理論とそれ以前との比較

 体調がいまひとつ良くないので、アニメが不完全ではありますが、とりあえずアップしておきます。
 時間があれば後で訂正します。星名先生の理論でもっと書きたい事がありますので。
 
 下のアニメーションは大学1年生の時に実践していた時のイメージです。
 注意してほしいの3番目の点線のラインです。このラインの位置は二つのアニメーションでも同じ位置です。
 私が立っていた場所は当時のアタックの選手の中では非常に浅い(相手に近い)位置に立っていました。
 そして突破する場所は相手のディフェンスラインとの中間点の想定されたタックルラインの少し手前で突破していました。相手の出方が遅いと、もっと前に出て、相手の出方が早いと少し後ろで突破するようにしていました。
 相手の出方に合わせているので受動的思考のプレーです。
 突破すれば、すぐにゲインラインは超えるのでフォワードは後ろに走る必要なありません。

大学1年生の時

 下のアニメーションは星名理論を実践した場合のイメージです。
 上のアニメとの違いは、まず立ち位置がスタンドオフの選手の真横です。更にボールがまだスクラムの中にある時にスタンドオフより早くスタートして、ボールを受ける前に想定されるタックルラインを越えています。スタンドオフはボールがスクラムから出た瞬間にスタートしますが、その時には相手のディフェンスからはボールが見え難いので、こちらのスタンドオフがスタートしたのを見てからスタートします。ボールを受けている地点は想定されるタックルラインを超えています突破すれば、相手のカバーディフェンスは届きません
 もしタックルされてもフォワードの選手は大きく後ろに下がる必要はありません。
 バックスでもっとも重要な役目はフォワードの選手を前に走る場面を作り出すことです。
星名理論 A1−1-ANIMATION-2
  相手の動きに合わせるのではありません。相手が私の動きに合わせて出てくるので、主体的思考でプレーをしていることになります。

星名理論と岡理論 89  星名理論のアニメーション

 


 星名先生の理論をアニメーションにして作ってみました。

 言葉よりはイラスト、イラストよりは動きのあるアニメ、と以前から考えてはいたのですが、なかなか時間がなくて作れませんでした。アニメーションの作成はこれが初めての挑戦となります。

 FC2のブログでもMACであれば、英語、スペイン語には翻訳できるので、画像データのテキストの一部は英語に直しておきました。

 一番上のdefense Lineとなっているのは守備側(ディフェンス)が通常並ぶラインでスクラムの最後尾の選手の足から5メートル後ろの位置で、ボールがスクラムから出るまで、前に出ることはできません。 
 二番目のラインはゲインラインで攻撃側と守備側の境界線です。
 三番目のラインは想定できるタックルラインで、それぞれのマークの選手がタックルをすると想定される場所をつなぎ合わせたものです。大方の場合アタックラインとディフェンスラインの中間点ぐらいに位置します。

 最初の立ち位置はスクラムからの時はスタンドオフの横一線に並びます。まずスクラムの中にボールがあるときにインサイドセンターはスタートを起こします。相手のディフェンスLINEはまだボールがスクラムの中にあるのでスタートは起こせません。大体の時間はスクラムからボールがでる1-2秒前です。
 スタンドオフはスクラムからボールが出ると同時にスタートを起こします。
 相手のディフェンスはスクラムからボールが出たのを確認してから前に走り始めます。そのためスタートはさらに少し遅れるものとなります。
星名理論 A1−1-ANIMATION-2
 スタンドオフもまっすぐスタートしボールを受けて相手のタックルが届く少し前で横に長いパスをします。インサイドセンターはスタンドオフより前に走っているのですが相手のディフェンスはこれ以上前に走るとボールを持っていないセンターにぶつかるので途中で待つしかありません。
 
 相手のセンターが立ち止まった瞬間にインサイドセンターは横に大きく走ります。助走をつけながら走り込んでいくセンターと立ち止まって待っている相手のセンターでは助走をつけて走り込むセンターの方が有利です。
 
 星名理論はスタンドオフとインサイドセンターの動きが鍵になります。特に重要なのはインサイドセンターの走りで、横へ走るスピードです。私は体重が60キロ弱で横へ走るスピードが速かったのですが、他の選手は体ががっちりして縦に強く、ぶつかりながら突破する選手が多かったので、なかなかうまくいかなかった様です。

 アニメでわかると思いますが、スタンドオフより早くスタートして、出来るだけ前へ出て、相手の選手を立ち止まらせる事が重要です。
 失敗してもほとんどゲインラインの近くまで走り込んでいるので、味方のフォワードが後ろに走る必要はあまりありません。バックスのもっとも重要な役割はフォワードを前に走らせる事です。

星名理論と岡理論 88  主体的思考による環境の最適化 7

  私が星名先生、岡先生から引き継いだもの。

 当然、私が両先生から引き継いだものは「自由な発想」と「主体的な思考」のようです。でも、これに気づいたのが半世紀以上経った、もう人生の終わりも間近の最近というのが私らしいところです。

 私が星名先生にグランド以外でお会いしたのは2回だけです。一度は卒業間近、京都の同志社のグランドがあった近くの三宅八幡駅の近くのご自宅に、キャプテンの石塚と一緒にお邪魔しました。

 卒業して広告代理店に勤務していた時、毎日放送でよく面倒を見ていただいた、京大のボクシング部のOBの森さんと一緒に、軽井沢の星名先生の別荘にお邪魔した事があります。

 森さんがイギリスのBBCが放送したラグビーの世界選抜とイングランド代表の試合の放送権を手に入れ、なんとか日本で放送したいので、星名先生の力を借りたいとのことで、京大ラグビーのOBの石田さんと一緒に、別荘にお邪魔しました。そして星名先生の力添えで新日鉄の提供していた番組の中で放送する事ができました。

 当時、まだ世界のラグビーの情報が全く入ってこない時期での初めてと言っても良いような、素晴らしい試合の放送でした。

 岡先生とは卒業してから20年近く、毎夏、同志社の合宿には臨時コーチとして2週間参加し、大学選手権などで同志社が上京した時は宿舎に同宿しました。

 また住んでいたのが南青山、元麻布と都心で便利で、独身時代が長かったので岡先生は気軽に、泊まりに来られ、ラグビーの話を夜遅くまでしていました。

 ですので、岡先生のラグビー理論は私が一番理解していると自負しています。

 ラグビーを始めたおかげで、自分は得るものが多かったと思ってはいたのですが、何がどのように自分に影響を与えたのか、考えた事がありませんでした。

 これは私だけではなく、ラグビーをした多くの人が、「ラグビーをして良かった」と感じていると思いますが、これは他のスポーツをしている人も同じです。他のスポーツをした人も「そのスポーツをして良かった」と思っている事でしょう。

 でも、私はラグビーだからこその、何かがある様に感じていました。私のラグビーの友人の多くは、大雑把でいい加減です。良く言えば、「他人の価値観を認め、多様性を認める」とも言えます。

 何故、この様な性格になっていくのか、

 そのキーワードとなるのが「主体的思考」だと考える様になりました。


自分で考え、責任を持つ

星名理論と岡理論 87  主体的思考による環境の最適化 6 

 星名先生から岡先生に引き継がれたもの

 星名先生から教えを受けた岡先生に引き継がれたものは「自由な発想」と「主体的な思考」のようです。

 岡先生の講演録「教わり、教え、教えられ」では次のように書かれています。

自分で考え、責任を持つ
 岡先生の略歴(ウィキペでイアより抜粋、加筆)です。
 大阪市出身。天王寺中学から同志社大学文学部に進学。現役時代のポジションはFW。1959年に同大ラグビー部監督に就任。1962年に日本選手権の前身、第2回NHK杯で優勝。1964年の第1回日本選手権も制した。同志社ラグビーの象徴ともされる存在である。
 1973年にラグビー部で部員事故死があり監督を辞任。3年後に復帰した。その後、大学選手権は、林敏之、大八木淳史らで1980年に初優勝し、平尾誠二らが在籍した1982年〜1984年度に史上初の3連覇を果たした。このほか、日本代表監督も1972年をはじめ数度歴任。日本ラグビーフットボール協会強化委員長も務めた。

 バックス出身の星名先生とは違い、フォワード出身の岡先生はフォワード戦にこだわりを持っておられるように感じました。「フォワード戦に勝たないとラグビーの試合には勝てない」と言って、特にスクラムを重視しておられました。
 1960年代の同志社のスクラムの強さは伝説的です。スクラムは8人の力を最前列の3人にうまく伝えないと押せません。少しぐらい力の差があっても、相手に一人強い選手がいるとスクラムが回ったりして組み直しを命じられ、押すことは難しいので、組んですぐボールを入れて最前列の真ん中の選手(フッカー)がボールをフッキング(足で後ろに転がす)します。
 
 スクラムを押すことにこだわった岡先生は時にはフッキングをする時に片足を浮かせるので、フッキングをやめて両足で押すように指示したこともあります。この時代のスクラムは押すのではなく、押しながら走るものだ、と言われていました。事実、私はテレビでスクラムを20メートルほど押しながら走って、相手のフッカーがボールと一緒にスクラムから転がって出てきたのを見た事があります。

 このように岡先生のラグビーに対する考え方は、主体的な思考で、スクラムをどのようにして押し勝つか、常識や慣習に縛られない、自由な発想で、フォワードが勝てる環境を作り上げておられました

 

2022-03-17

星名理論と岡理論 86  主体的思考による環境の最適化 5

 星名理論が生まれた時代背景


 星名理論の凄さを知るためには1960年代の時代背景を知る必要があると思います。私が星名先生と出会い、星名理論を教えて頂いたのが1965年大学2年生の春の時でした。
 この頃はテレビもまだ白黒が主流でビデオなどもあまり普及していなくて、海外の情報もほとんどない時代でした。円の為替レートも固定で1ドル360円の時代で、大馬鹿者の私はニュージーランドがどこにあるかも知りませんでした。
 
 まず星名先生の略歴(ウィキペでイアより抜粋、加筆)です。
 米国テキサス州ヒューストンで生まれ、現在の京都、洛北高校、京都大学工学部出身で、ラグビー部に所属していた。1928年に京都大学ラグビー部が東西学生ラグビーフットボール対抗王座決定戦で早稲田大学を破って、全国制覇したときのキャプテン。ポジションはCTBで、たくみなサイドステップやカット・スルーで活躍した。
 5種競技でもアジア大会で優勝した。

 1928年大学卒業後は南満州鉄道に技術者として勤務、1947年に満州から帰国、その後は同志社大学工学部の教授となり、同大学ラグビー部を指導した。当時の教え子に元日本代表監督岡仁詩などがいる。1960年に京都大学ラグビー部の監督に就任。京都大学ラグビー部元監督の市口順亮など、多くの名選手を育てた。

 星名のラグビー理論は、「星名ラグビー」と呼ばれ、オーストラリアやニュージーランドなどの最先端のラグビー理論の原著を自ら翻訳し、積極的に取り入れて日本のラグビーを一気に近代化させた。その理論は教え子である岡や市口だけでなく、早稲田大学の名将、大西鉄之祐など、ラグビーの黄金期を支える世代に大きな影響を与え、日本の近代ラグビーの発展に貢献した。
 エピソードとしては、星名が同志社大学の学長への就任が決まった時、新聞記者たちのインタビュー申し込みに対して電話口で、「学長就任の抱負など特にない。ラグビーの話ならする」と答えたという。

 私が同志社高校に入り、ラグビーを始めて、何も分からないのでラグビーの本を探しに本屋に行ったところラグビーに関する本が1冊あっただけで、それを買ってラグビーのことを少し勉強しました。

 当時、ラグビー界で話題になっていたのはニュージーランドの戦法でアップ・アンド・アンダーと呼ばれるもので、スタンドオフで高いキックをフォワードの前に上げ、それを走り込んで勢いをつけて倒し、ボールを確保すると言うものでした。パスは後ろにしなければならないラグビーのルールの中では、バックスにパスをするのはハーフからスタンドオフへの一回だけで、フォワードが後ろに走る場面を極端に少なくする確実な戦略でした。
 そして、バックスは深い(相手から遠い)アタックラインで足の速いウイングまで回して勝負すると言うものでした。

星名先生一人 
 このような時代背景の中で、星名先生は外国のラグビーの文献を読みあさり、それまでの常識とは真逆の、天動説の時代に地動説を説くような、極端に浅い(相手に近い)アタックラインを考え出されました。

2022-03-14

星名理論と岡理論 84 主体的思考による環境の最適化 3

 星名理論に主体的と言う言葉を選んだ理由

 コーチングには言葉が重要です。

 私はブログを始めるにあたり、使う言葉に結構注意を払う様にしました。

 スペインに来て2年ほどで、ラグビーを始めて半年ほどで、成り行きでカデテス(15歳−17歳の選手)のコーチになってしまいましたが、スペイン語がもう少し話せる様になるまで、待つべきでした。コーチには言葉が重要であることを岡先生から教えていただいていました。

  良くある事ですが、複数のコーチが教える時、考え方、話す言葉等を事前に良く打ち合わせして統一しておかないと、同じ事を違う言葉で伝えると、選手が迷う時があります。同志社がニュージーランドからFWコーチにホックリーさんを迎え、初めて日本にモールの技術を持ち込んだ時、岡先生は使う言葉を決めました。

 それまでの寝こんで重なりあうラックから、立って歩きながら押し込んでいくモールに、後から参加する選手に「突っ込め」と指示するOBに「モールに入れ」「足を前に動かせ」と言う様に徹底しました。寝ころんで重なっているラックに「姿勢を低くして突っ込め」と言われると、「飛び込む」様な意識になってしまい、突っ込んだ時点で終わってしまいます。しかしモールは立って押し合うので、足を前に動かさないと前に進みません。同じ人数で押し合っているのなら一人でも足を前に動かせようとする選手が多い方がモールを押し込めます。

 無口で、照れ屋で、人前で話すことが苦手な私は、勿論、まともな文章も書けないので、それからパソコンを買い、文章やマーケティング戦略を書く練習を始めました。人前で話すことはまだほとんどできませんが、マーケティング戦略などは書ける様になりました。 でも私が書くマーケティング戦略はチャート式で文章にはなっていませんが。

 パソコンには助けられています。最近はほどんどGoogleのドキュメントを使って書いているのですが、間違った文字や表現は直してくれるし、同義語、反対語などもすぐに調べられるし、キーワードとなる単語は慎重に選んでいます。

 今回は受動的の反対語を調べ、「能動的」「主体的」などでてきたのですが、星名先生や岡先生の影響はラグビーだけではなく、仕事や生き方までに及んでいるので、主体的の方が良いと思い、決めました。

今一番好きな岡先生の言葉です。

自分で考え、責任を持つ

  受動的思考にはなりたくないと思っています。

山崎、ツイート小

星名理論と岡理論 83 主体的思考による環境の最適化 2

 受動的思考からの脱却

 星名理論と岡理論の考え方についてを端的に表す言葉として「主体的思考による環境の最適化」という言葉を使いました。

  ラグビーは本質的には地域を取り合うゲームですので、少しでも前へ(相手のゴールラインに向かって)出ると言うことが非常に重要なことです。

 ルールでスローフォワード(前方にパスはできない)、オフサイド(ボールを持っている選手より前の選手はプレーできない)があるので、味方のフォワードはスクラム、ラインアウト、ラックなどでボールを奪取し、バックスに提供した段階で、味方のバックスが自分達より前の場所にボールを持って走り込むまでプレーに参加できません。

 私がラグビーの試合でやっていたことは「相手の出方に合わせて、突破するポイントを出来るだけ前(相手に近い所)にする」と言う、受動的な思考でした。その思考の元では、突破する以外、相手との中間点(想定されるタックルポイント)より前方に走り込む事はなかなかできませんでした。

星名理論の概念図1

 ところが星名先生は、ボールを受ける前に中間点(想定されるタックルポイント)に入り込めば、私はまだボールを持っていないので、相手の選手は私にタックルすることができず(ノーボールタックルは禁止)、私がボールを受けるのを立ち止まって待つしかない」と言う、真逆の考え方を教えていただきました。
星名理論 概念図 2 新

 突破に失敗しても中間点は超えることができるということです。
 これはルールをよく理解して、「ボールを持っていない時の動きで、私の方でタックルポイント決めることができる」と言う主体的な思考となり、初めて可能になるものでした。

 これにより、想定されるタックルポイントを相手側に押し込むことになり、簡単にフォワードのオフサイドを解消して、試合を有利に進めることができることになります。

 言い換えると、フォワード(チーム)が有利に戦える、環境を作り出すことになります。

 この様に図で示し、説明すると簡単なことの様に思いますが、受動的思考の元では全く考えられないことで、同志社大学の2年生の時、星名先生が私に教えてくださったのが、もう50年以上前のことですが、未だにこの様なプレーをする選手やチームは見当たりません。

 主体的思考になってから、初めて理解できるものです。

 この様に考えて、「主体的思考による環境の最適化」をキーとなるフレーズに決めました。
 主体的思考がどれほど重要な事か考えていきたいと思います。