2022-08-21

星名理論とドラッカーの「既に起こった未来」の共通性 2

  星名先生に教えていただいた「極端に浅いアタックライン」は主体的思考のもとに、自分に、チームに、好ましい環境を作り出すことでした。

 岡先生に教えていただいた「戦略の順序と時間配分の考え方」、Aアタック(フォワード中心)、Bアタック(バックス中心)の実施順序と実施時間の配分は、主体的な考え方に時間的要素を加え、80分間の試合時間の中で、後半の最後の20分間のため、前半戦にどのような戦略的なプレーを完了させておくか、ドラッカーの言葉を借りると、「既に起こった未来(試合に勝利する)を作っておく、完了させておく」と同じことだと感じました。 詳しくはこちらから

  私がドラッカーの理論を知ったのは30歳前後の時で、このようなことを大学の時から考えてプレーしていた訳ではありません。

  大学生の頃意識していたのは、戦略的なプレーを前半の早いうちに完了させておく、と言う事だけでした。戦略的なプレーとは「フォワードを前に走らせるプレー」を多用し、フォワード戦を有利に戦える状況を、前半終了までに、遅くとも後半20分までに完了させておく事でした。

  当時はルールでスクラムを10人で組んでも良い時代でしたので、Aアタックの時にスクラムを10人で組み、バックスに回せばトライを取れる場面でも、敢えてフォワード戦を挑み、相手のフォワードの体力を徹底的に消耗させ、もし得点差でリードされていても、最後の20分間で逆転すると言うものでした。

  「戦略の順序と時間配分 7」に書いてありますので、詳しくはこちらから

  「既に起こった未来」の「既に起こった」という表現は完了形です。大学のころはドラッカーの「既に起こった未来」のことは知らなかったのですが、星名先生と岡先生の指導からは、私は「戦略的なプレーは完了形にしなければならない」と言うことを強く意識するようになりました。

 ラグビーの試合時間は80分間で得点を争います。実力が同じくらいの2チームが争う時、偶発的なプレーで勝負が決まることはよくあることです。必ず勝つためには戦略的なプレー(相手のフォワードを疲弊させる)を早い時間帯に多用し、後半の20分ぐらいまでに、フォワードの疲弊の度合いの差がはっきりと見えるぐらいにする必要があります。

日大戦記事1
この日大戦の記事に書いてあるように、前半25分ぐらいまでは11対0で負けていました。しかし私には「既に起こった未来(試合に勝つ)」ははっきりと見えていました。ここまでは自分達のアタックのスクラムを10人で組んで押し、もうこの時点で相手ボールのスクラムは8人で組んでいましたが、押し勝つような状態だったからです。

  20分のAアタックを30分までに伸ばし、Bアタックに切り替えた途端フォワードがトライをしました。記事に書いてあるようにこの頃には日大のフォワードの動きは目に見えて鈍ってきました。これこそがドラッカーの言う「既に起こった未来」です。
日大戦記事2
さらに後半Aアタックから入り、相手のフォワードに更にダメージを与えた上で、Bアタックに切り替えました。そして逆転し、そのままの勢いで点差を広げて勝利しました。

  このように、私の頭の中には相手の動きにどう対処しようという意識は全くありませんでした。最初から相手の動きとは関係なく、自分達で考え、判断し、行動して、責任を持つ、主体的思考で、各プロセスで相手のフォワードを疲弊させると言う戦略を完了形として作り上げることを意識していただけでした。

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