前回、「タックルの名手二人」で私の同期のメチャとダイマルが仲良く写っている写真を載せましたが、ダイマルが同志社の1年生の時、新人とOBの交流戦があった時、あの小さなメチャがあの大きなダイマルに正面からタックルして身体中が痺れてしばらく動けなかったことがあったそうです。無謀なことをする奴です。
私も大きなフォワードにタックルしたことはありますが、ほとんど横か後ろからで正面からぶつかったことはありません。
大学4年生の時の近鉄戦で先輩の石塚さんにタックルをしました。味方ゴール前の22メートル付近のラックから石塚さんが突然抜け出して何故かフルバックがいなくて真っ直ぐゴールポストの下にトライできると思ったのか、少しスピードを緩めた所に、真後ろから追いかけていた私が両足首にタックルしてトライを防ぎました。
この年の近鉄は日本選手権で優勝した時で、すごい選手が揃っていました。先輩の坂田さんには2トライされました。でも記事にあるように、私も2トライをして、そのうちの一つは岡先生がびっくりしたほど常識はずれのものでした。
相手陣のゴール近くのラックで近鉄がボールを支配していました。4人ぐらいで組んでいたラックで少し隙間があり、私は細いのでその間をすり抜けられるのではと思い、肩を窄めてラックに入ったらすり抜けることができ、目の前にあったボールを拾ってそのままトライをしたものです。
岡先生は常日頃、ラックの組み初めは、バックスの選手でも自分が入るとボールが取れるようであれば、必ずラックに入れと指示されていました。しかし、私にだけは、「お前の好きにしろ。お前がラックに入ってマイボールにして、お前のいないバックスにボールを回した方が良いのか、お前のいるディフェンスで相手にアタックさせた方が良いのかよく分からん。万が一、お前がラックに入ってボールを取れなかったらお前のいないバックスでディフェンスをすることになる」と、言われました。
そのため、私はあまりラックに入ることはなかったのですが、日本一の強力フォワードの近鉄とのラックに私が走り込んだのでびっくりしたそうです。
私一人がラックに入っても強力な近鉄フォワードのラックを崩すことはできないのに、と思っていたら、ラックに入って肩をつけて押すのではなく、隙間をすり抜けて相手ボールを拾ってトライをしたのには流石にびっくりしたようです。
「お前は本当に信じられないプレーをする」と言って、笑っておられました。岡先生が私のことを高く評価してくれていたのは、全く想像もできないようなプレーをするからだと思います。
林敏之氏(ダイマル)と日本ラグビー協会会長、土田雅人氏との対談の中で平尾の話として「これで完璧な試合運びだと思っていたら岡先生に、おもろない、こうするだろうと思うとその通りにする。相手に予測できないプレーをしろよ」と言われたとのエピソードがありました。
岡先生は周囲の選手が予測できない、独創性のようなものを選手に求めておらられたようです。
お二人の対談はコチラからからご覧になれます。
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