2022-05-08

星名理論と岡理論 98 主体的思考による環境の最適化 15

 ラグビーにおける主体的思考とは 6 正の連鎖と相乗効果を起こす為に 2


 自分のチームに正の連鎖と相乗効果を起こす一番手っ取り早い方法は全力で飛び出すデイフェンスでできるだけ前でタックルし、相手に負の連鎖を起こさせることです。そして今までの常識を全て捨て去り、ボールを持っている相手をできるだけ前で倒す主体的思考で、本能のような直感に従ってプレイすべきです。

 多くのチームが、バックスのディフェンスは横一線で揃ってスタートするように教えられます。これでは一番遅くスタートする選手に揃えることになります。
 重要なことは全員が前に向かって全力で走るということで、問題なのはスタンドオフやインサイドセンターがどうせタックルは届かないと思い、少し前に飛び出した後で、スピードを緩めるか横に向かってカバーディフェンスに走ることです。そうすると相手のスタンドオフやインサイドセンターが前にボールを持って走ってくるので、アウトサイドセンターはタックルに入りにくくなります。

 通常は横一線に揃えて出る方が突破されにくいのですが、私はいつも全力で真っ直ぐに前の二人より早く、飛び出していました。多くのチームは私の飛び出しを見ると、少し前に出るのを控えたり、横へ走ったりで、受けるポイントが想定できるタックルラインより、後ろ(こちらから見ると前)でボールを受けようとします。

 そうするとスタンドオフとインサイドセンターの二人は、できるだけ前でタックルした方がチームのためには良いことはわかっているので、私に合わせて、前に飛び出すようになってきます。
飛び出すディフェンス1
 主体的思考のできる選手は、常識や決め事よりも、今の状況ではどうすることがチームのためになるのか考えながらプレーするので、私がタックルしやすいようにカバーに入ります。
 そして私がタックルをしたら、スタンドオフかインサイドセンターのどちらか一人が私がタックルしたポイントにに入って来て、肩をつけると、もうこれはラックとなり、その場所より前にいる相手の選手は全員がオフサイドとなり、プレーに参加するにはラックのポイントより一度後ろに戻らなければ参加できません。

 逆に味方のフォワードは全員オンサイドの位置にいるので、そのまま勢いをつけてラックに走り込むことができます。このようなプレイを試合開始から終了まで続けることです。
 相手には悪循環(負の連鎖)による負の相乗効果が、味方には正の連鎖による正の相乗効果があり想像以上の力の差が出てきます。

 このように書くと非常に簡単なように感じますが、主体的思考になるには特に日本人には結構難しいことです。小さい時から周囲との調和を教えられ、その枠から出ようとしない思考の元ではチームワークなどという綺麗な言葉で、戦況が変化しているのに、最初の決め事を守る意識が強いためです。

 通常の指導者であれば、私が決め事を破り、一人大きく飛び出して相手に突破されたら、私を注意するのが普通です。岡先生からは一度もこのことで叱られたことはありませんでした。

 当時、私たち3人の走力はほとんど同じでした。その中で私が飛び出すことができたのは、他の選手が揃って出ることに意識がいくあまり、80%のスピードをトップスピードと思い込んでいたのですが、私は本当に全力で飛び出していたからです。

 ラグビーは地域を取り合うスポーツで、変化が常態です。一番先頭で前に向かって走っている選手を生かすべく、後の選手が主体的思考でそれに対応すべきです。常識的な決め事は無視して当然です。
 

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