2022-08-21

岡先生の凄さも再確認

  「京大ラグビー部100周年誌デジタルコンテンツ」を見て星名先生の凄さを再確認しましたが、同時に岡先生の凄さも再確認することになりました。


 デジタルコンテンツの京大ラグビーのOBの方々の話を聞いていると、星名先生、岡先生、市口さん、ほとんど同じような指導をされていたように感じました。岡先生、市口さんが星名先生の理論の凄さをしっかりと認識されていたからでしょう。

  京大ラグビーのOBの方々があまり触れられていないのが、フォワード戦へのこだわりです。岡先生はフォワードの出身のせいか、フォワード戦に勝てなければラグビーの試合に勝てないと言うほどフォワード戦、特にフォワードを前に走らせることにこだわっておられました。

 これはラグビーが地域を取り合うゲームであり、最前列でフォワードがボールを奪い合い、奪ったボールは後ろにパスされながら進む、ラグビーの本質的なものからきているものと思われます。

 岡先生は特にスクラムの押しにこだわり、普通はアタックの時はフッカーが右足を浮かし、投げ入れられたボールを味方の側に転がすのですが、右足を浮かすのを止め、両足で押すことにするとか、更には投げ入れられたボールを相手側に転がし、わざと相手の押す力を削ぐようにしむけ、最後はスクラムを圧倒するように仕向けました。

 そしてバックスにはタックルの強い選手をそろえ、飛び出すディフェンスでできるだけ前で倒し、フォワードを前に走らせることに集中しました。

 ここまで徹底して全選手を前に走らせると、15人の選手全員の相乗効果は想像以上のものがあります。
 これを実証してくれたのが東京外国語大の選手達です。

 東京外語大のラグビーは90年以上の歴史があります。しかし、京大のラグビー以上にラグビーはおろか他の運動もしたことがない選手が多いみたいです。
 夏の合宿で私には同じようなレベルに見える相手に大敗しました。合宿の最終日、東工大と試合をすることになっていましたが、東工大は大敗した相手に大勝しているチームです。「どうせ負けるのだから試合はしたくない」と言う言葉も聞こえました。

 「強い相手にどうやって勝つのかを考えるのがラグビーだ、 ラグビーは前に向かって走っている選手が多いほうが勝 つ、 ボールは全て前に蹴れ、FWもバックスも全員全力で前に向かって走れ 、ボールを持っている相手に一番近い選手が とりあえず捕まえろ、後は皆で押し倒せ」と少し強い口調で言うと、試合当日の朝は雰囲気が全く違いました。「勝ちます」「全力で前に走ります」などと涙ぐんでいる選手もいました。

 試合になると、本当に全員が前に向かって走り、だんだん勢いの差が出てきて、大勝してしまいました。
 詳しいことはこちらから

 この試合でまず起きたことは正の連鎖(スパイラル、好循環)です。

 フォワードが獲得したボールはスタンドオフで味方のフォワードの前にキックする。それをバックス全員が前に向かって走ることにより、誰か一人がフォワードの位置を超えた段階でフォワードの選手全員がオンサイドとなり、プレーに参加できることになり、前に向かって走り出します。
 
 誰かが相手のボールを持った選手を捕まえて、もう一人そこに参加すると、これはラックとなりもう相手のフォワードは全員がオフサイドとなり、そのラックの選手たちの後ろの位置まで戻ってからラックに入ることになります。
 東京外大の選手は全員がオンサイドの位置にいるのでそのまま勢いをつけてラックに走り込みます。当然数が多いのでボールを獲得します。
 そしてそのボールをキックして同じことを繰り返します。

スパイラル
  そしてその次に起きたことが相乗効果(シナジー)です。
 全員が前に向かって走ることにより、個人の体力の消耗も少なく、勢いもついて、スピードもアップされます。このような効果が15人の選手全員に起きているわけです。

 逆に相手の東工大は全て真逆のことが起きているわけです。全員が後ろに向かって走り、相手より長い距離を走り、体力を消耗し、負の連鎖(悪循環)が起きており、マイナスの相乗効果が15人全員に起きているわけです。

 星名先生の理論は京大のラグビーで初めて実践されたものです。もう一度、星名ラグビーを見直して、実践すれば、少なくとも京大は関西のAリーグには間違いなく上がることはできると思います。

 100周年と言う記念の年には京大にAリーグに昇格して欲しい、と心から願っています。



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